医療材料について

医療現場ではいろいろな物質を使います。体内に作用させるもの、体内に埋入するもの、
手術や治療中に接触するもの、体表に接触するものなどです。

医療材料は、患者さんのために使うことによって、患者さんの利益になるものです。ですから、勿論、安全性については、評価されています。我が国における医療材料には、まず保険診療に使える(つまり費用が請求できる)厚生労働省の保険収載医薬品があります。医療一般に使用され安全性が確立しています。美容外科診療においても多くはこの範囲です。次に医師の裁量において、自費使用されているものがあります。私は使用研究結果が学会や論文で公表されていて、安全性が認められているものを使用するようにしています。美容外科で使用するものの中には、我が国では製造されていないものが多くあります。国内の製薬会社は手続きが煩雑なため製造しないのです。外国からの医療品は、医師だけが患者さんのために輸入することが出来ます。私はその場合欧米の研究結果を、論文で確かめています。そのうちの一部は製造国の厚生省等(アメリカのFDA[Food and Drug Association]など)が認可していますから、安全性が確立しています。

安全性とはどのように評価されるのでしょう。簡単にご説明しましょう。

  1. 1.生体にとって毒性が無いこと、使用量を決めること。どんな薬も多量に使えば毒性があります。生体に対してどのように作用させるかでも安全性は変わります。
  2. 2.科学的に、理論的に、検討されていること。論文や製造者のデータが証明します。
  3. 3.臨床使用経験から、正しい治療法と通常の経過では、副作用が起こっていないもの。私は少なくとも開発後1年間のデータが公表されているものを使います。

医療材料の中で美容外科に使用されるものをご紹介します。

生体に生理的作用をもたらすもの=薬、医療一般に使われるものは省きます。また、売薬や商品中にも効果の確立したものがありますが、ここでは省きます。

お勧め治療

プラセンタ
20年以上前から肝臓を元気にする薬として、使われています。近年美肌効果が認められ、全身が活性化されることが解り、注射またはサプリメントとして、頻繁に使われています。使い始めた方々は、調子がよくて止められないとおっしゃいます。
ホルモン
体内の機能を助ける物質です。時には補わなければなりません。特に女性の更年期では、欠かせません。更年期以降の女性では、美容面も含めて大きな有用性が認められています。
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体内に埋入するものには次の種類があります

1.生体から得るもの
生物の構成成分である物質を抽出、通常は代謝により消失していく、時にアレルギーが起きる。
2.人工物
生体にとって異物でないもの、異物でも反応の少ないものが使われる。アレルギーは起こさない。
3.自分のもの
材料と部位の性質によっては、永久定着する、但し材料は限られる。
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しわやくぼみを平らにするために使われるもの

1.コラーゲン注入
体や皮膚の成分です。注入すると月単位で分解吸収されます。牛から作るので、3%の人にアレルギーが起きます。また、BSEの問題で最近は使われなくなりました。肌に塗ってもしわは取れませんが、保湿作用は無類の効果です。
2.ヒアルロン酸

体や皮膚の成分ですが、ゼリーのような液体です。関節用のものは10年前に発売されましたが、鳥から作られていたので、まれにアレルギーがありました。現在は人工的に製造しているので、安全です。FDAも認可しています。ゼリーは粒子が数珠状につながっていて、柔らかさや持続性が調節されています。当院で使用しているピュラ―ジェン®はやや硬めで、深いしわに有効です。8~12ヶ月で徐々に吸収されますから、数ヶ月ごとにする方が多いです。1ccの注射器をお買い求めいただき、1回で使い切らずに院内でキープしてお使いいただいています。

今回更に吸収の遅いサージダーム30®を使えるようになりました。細かいしわにも使えるサージダーム24®もあります。FDA認可品です。

注意:
半永久的ヒアルロン酸と称して、異物を混入したものがあります。時に異物反応が出て炎症を起こします。使用しないほうがいいでしょう。

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3.自分の脂肪など
注入材料として自分の脂肪を使うことがよく行われます。一箇所当たり数ccまでなら生きて残ります。数ヶ月で注入量の約半分にやせてしまいますから、1回追加をすることがあります。顔には特に生着がいいです。大量に注入すると、大部分が死んでしまい溶けて吸収されてしまいますし、吸収されずにしこりになることがあります。ですから、乳房には不適です。FDAも禁止しています。材料はいくらでもありますから、少しずつ行いましょう。
4.シリコンなどの非吸収性非生体物の注入
私の父の45年間の治療経験を見てきました。時に回復不能の状態を起こします。異物そのものに毒性はありませんが、永久に残る間に移動してしまうのです。つまり長年経つと変形することがあるのです。現在では原則として使用しません。ハイドロゲルも同様です。
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組織の増大を図るもの

自分の組織:あくまでも採取部の犠牲の最小な物を使います。

1.皮膚
皮膚を皮膚の表に移植することは出来ますが、美容外科では必要なケースはまれです。皮膚の厚みを皮下に埋入することは出来ますが、あまり有用性はありません。
2.脂肪
脂肪を塊で入れると生着率が高いので、時に使われます。しかし、挿入口として、傷が必要なので、部位は限られています。例として、くぼみ目、薄い唇があります。
3.筋膜
皮膚の裏に当てたり、たたんで塊を作ったり出来ます。また、糸の代わりに組織と組織をつなげるのに使えます。糸と違い組織を引き上げる力が半永久的です。例として、隆鼻術の一部、リフトの補助、眼瞼下垂手術の補助などに、使うことがあります。
4.軟骨
鼻は軟骨が形を作っていますから、高くするために軟骨を移植することがあります。耳からが軟らかく、形もいいのでよく行われますが、量が限られています。肋骨の軟骨は採取手術に危険を伴うので、行わないことにしています。
5.骨
移植骨は吸収されるので、美容形成外科では、特殊な場合以外使われません。
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人工物

1.シリコンゴム
シリコンは体内においては、毒性はありません。経年変化も起きません。変形もしません。但し、異物ですから、周囲をコラーゲンで包まれます。これは体が作るものですから、変化します。また、入れたものは変化しないので、加齢により周囲の皮膚や脂肪が萎縮するとシリコンが目立つようになることがあります。シリコンは生き物では無いので、周囲と密着しません。包まれているだけです。ですから、周囲の組織が傷むと、露出するのです。また、シリコンの面には免疫が無いので、微生物(ばい菌など)に弱いのです。隙間に感染すると広がってしまうので、清潔を心掛けましょう。これまで約25年使ってきましたが、大きなトラブルはほとんどありません。時にあるのは、無理なものを入れた場合の入れ替えです。私の経験では、かなり多様なデザインに対応してきました。原則を守れば安全な材料です。
2.バッグ
軟らかい組織の増大には、軟らかいものを入れるべきですが、ヒアルロン酸では、吸収されてしまいます。吸収されない物質としてはシリコンがありますが、注入ではいけません。これをシリコンの袋に詰めれば、変形しないで軟らかさを保てます。これが乳房用バッグプロテーシスです。1962年にアメリカで製品化されたのですが、当時のものは、衝撃に弱く漏れ出してしまうケースがありました。1992年までにアメリカでは約200万人が入れたのですが、そのうちの20人が、破れた結果問題になり、一度製造中止になりました。その後は、仕方ないので生食入りバッグや、ゲル入りバッグが使われていましたが、感触がよくありませんでした。1996年に破れても漏れないように改良されたバッグが開発され、FDAでも検査のうえ、認可されました。現在、私はこれを使うようにしています。感触は自然で柔らかく安全です。
3.テフロン、ゴアテックス、ナイロンなど
テフロンは無害ですので、紐状のものをしわの下に埋める方法がありますが、調節が難しいので使いにくいです。ゴアテックスは人工血管の材料として10年以上の歴史があり、安全です。柔らかすぎて薄いものしかありませんから、美容外科治療にはほとんど使われません。ナイロン(衣料品材料と同じ)、ポリプロピレン(軟らかいプラスティック)、ポリエチレン(ペットボトルの素)は、医療用の糸として30年以上の歴史があります。アレルギーは無く、異物反応がありません。
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